はじめに
今回は、介護の仕事における「個人評価が難しい理由」について考えてみたいと思います。
介護の仕事で、積極的にオムツ交換やトイレ介助を行うスタッフも居れば、あまり進んで行わないスタッフも居るでしょう。
時には、「なんで私ばっかり便失禁の処理してるんやろ・・・」
「トイレ介助をしたり失禁を発見したら、評価が上がる制度ないかなあ・・・。」
こんなこと考えたことありませんか?
私はあります。
この記事は、介護の評価について書かれています。
介護は、「オムツ交換○件!」や「トイレ介助○件!」といった風に数値で表すこともありません。
よって、他の職種に比較して個人評価が難しいと言えます。
経営者は、事業所の売り上げや稼働率には大きく関心を持ちます。
(稼働率は、「定員に対してどれくらい多く利用してもらえたか」です)
しかし、個人評価については「そこまで関心が無い」のが実情です。
この記事を読めば、以下の事が分かります。
- 経営者は、収益の為に何を重視しているか
- 介護の仕事において個人評価が難しい理由
結論としては、
経営者は、稼働率を上げることを重視しています。
介護で個人評価が難しい理由は、
- 「経営者の関心が個人評価へ向きにくい」
- 「成果を数値化することが難しいから」
- 「管理者やリーダーの評価裁量が低いから」
以上となります。
それでは、詳しく見て行きたいと思います。
介護事業所が重視していること
会社組織には、必ず「経営理念」(ミッション)があります。
理念は、組織の方針を示したものです。
当然、介護事業所も理念を持っています。
「地域のために」や「利用者のために」などの言葉が入っていることが多いですね。
理念は、内部(スタッフ)と外部(地域や利用者)両方へ向けたメッセージと言えます。
一方で、法人は「利益」を得なければ存続することが出来ません。
「利益」を確保するためには、出来るだけ多く施設を利用してもらう必要があります。
その際、非常によく用いられるのが稼働率です。
稼働率とは、「最大定員に対してどれくらい利用があったか」を数値に表したものです。
例えば、40名定員の部署なら20名利用で稼働率50%。36名利用で90%となります。
事業所にもよりますが、稼働率90%が一つの目安とされることが多いようです。
経営者は、この稼働率をとても重要視しています。
稼働率が高ければ、通常売り上げも比例するからです。
経営者が評価できるのは、管理者まで
経営者から見れば、「稼働率を高く保てる管理者が、優秀な部下」となります。
誤解を恐れずに言います。
経営者は、「スタッフ個人がどれくらい動いたか」には深い関心がありません。
というか、そこまで把握しきれていません。
余談ですが、稼働率を高く保っても、スタッフへのパワハラなどで降格する管理者も居ます。
いくら優秀でも、人を大切に出来なければ管理者やリーダーになる資格はありません。
介護の仕事で個人評価が難しい理由
介護は数値化されないことが原因
住宅会社のセールスマンは何をもって評価されるでしょうか?
もちろん、「何棟住宅を売ったか」です。
自動車のセールスマンも同様、「車を何台売ったか」です。
では、介護はどうでしょう?
介護はチームで動きます。
チームプレイそのものは、悪いことではありません。
しかし、スタッフ個人の実績としては評価されにくいと言えます。
「オムツ交換○件」「トイレ誘導○件」が評価されればいいのですが、残念ながら個人の実績にはなりません。
介護で個人評価がされにくいのは、普段の業務が「数値化」されないことに原因があります。
異変に気が付いても、評価は同じ
利用者さんの失禁に気付いて、対応するのはいつも同じスタッフ・・・。
中には、見て見ぬふりをするスタッフも・・・。
こんな経験のある方も居られるかもしれません。
しかし、こういうことが頻繁にあっても数字や記録に残すことが出来ません。
結局は、みんな同じ評価になってしまう。
一生懸命やっているスタッフがしんどいだけ・・・。
中には、嫌になって退職してしまう人もいるかもしれません。
管理者やリーダーの裁量が低い
積極的なスタッフと、そうでないスタッフの評価はあまり変わりません。
それでは、管理者やリーダーが評価してはどうか?
私の施設では、ボーナスの査定は管理者が行います。
しかし、その裁量はあまり大きいとは言えません。
「最高評価の人」と「最低評価の人」で、大きくても1~2万円程度ではないかと思います。
管理者の評価で、数十万円も差がつくのが良いとは思いません。
パワハラやモラハラに繋がりかねないからです。
しかし、管理者としては、もう少し何か差が付けれたらと歯がゆい気持ちがあります。
最後に
今回は、介護で個人評価がされにくい理由について考えてみました。
結論をおさらいすると、
- 経営者の関心が個人評価に向きにくい
- 成果を数値化することが難しいから
- 管理者やリーダーの評価裁量が低いから
ということになります。
介護界では、「評価されることを目的に仕事をしていない」人も多く居ます。
一方で「頑張れば報われる」組織でなければ、離れていく人が居るのも現実です。
私の勤務する施設では、皆が率先して活き活きと仕事をしてくれています。
私は「よかったこと・嬉しかったこと」を上司に報告しています。
「事故やヒヤリハット」を報告するのは義務なので当然です。
映画「ゴッドファーザー」でも、「悪いことはすぐに報告せよ」と言っています。
私が「よかったこと・嬉しかったこと」を上司に報告するのは、一生懸命に仕事をしてくれるスタッフが、もっと評価されるためです。
どれくらい差が出るか分かりませんが、やれることはやりたいと思います。
お金が全てではありませんが、大切なのは事実です。
スタッフ全員が笑顔で活き活きと仕事が出来るように、来年4月の介護報酬改定にも期待が掛かります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。