はじめに
警視庁の発表では、2019年に認知症が原因で行方不明になり警察へ届け出たケースが1万7479人と発表しました。
これは7年連続増であり、昨年比552人増という結果です。
当日発見出来たのが71.7%、1週間以内に99%が発見されています。
一方で、死亡者は460人。
いかに徘徊による行方不明者を減らすか・・・。
これは、国としても大きな問題です。
地域の方々と「声掛け訓練」を実施
昨年、私の住んでいる地域で認知症の方が行方不明になりました。
それを受けて地域で「声掛け訓練」が実施されました。(令和元年6月)
地域の市役所職員、地域の方々、私の勤務する施設職員が参加しました。
「私を含め3人の施設職員が認知症役となり、徘徊する。
地域の方が、話しかけて「声掛け」の訓練を行うというものです。」
全員で100名ほどの参加があり大規模なものとなりました。
訓練前に行った講義の内容
実際に声掛け訓練を行う前に、気を付けるポイントを講義形式で伝えました。
ポイントは以下の4点です。
- いきなり声を掛けて驚かせない
- 相手の言うことを否定しない
- 引き止められない場合は無理をしない。
- 一人で何とかしようとせず携帯電話などで警察を呼ぶ
認知症の方は視野も狭く、いきなり声を掛けられると驚いて転倒する可能性もあります。
また、「そっちへ行かないで」「自宅へ帰らないとダメです」など自分の行動を否定されると怒らせてしまうかもしれません。
怒ってしまうと、余計に転倒などのリスクが高まります。
無理に引き留めようとせず、携帯電話などで警察などへ連絡しながら後ろから付いていくのが良いでしょう。
実際に「認知症高齢者」役を担当してみて感じたこと
声掛け訓練で、「認知症高齢者役」を担当しました。
ちなみに「麦わら帽子で農作業」をしている服装でした・・・(笑)
実際に、声を掛けられて感じたことは以下の通りです。
- 腕など体をつかまれるとすごく不快
- 進行方向に立たれると余計に立ち去りたくなる
- 「お茶飲んで休憩しよか」などと言われると嬉しい
ドキッとした方も居られるんではないでしょうか?
施設内であっても、帰宅願望のある利用者さんに対して「腕をつかんだり」「進行方向をふさぐ」スタッフさんもいるかもしれません。
実際に「認知症高齢者」役を演じてみて感じたことは、訓練であっても初対面の人に体を触られたり自分のしたいことを妨げられるのは不快だということでした。
訓練後の反省会
声掛け訓練には、100名ほどの地域の方が参加されました。(令和元年6月)
訓練後、5つのグループに分かれて感想や気づいたことを出し合いました。
- 実際に声掛けを行うのは、非常に難しい。
- 貴重な経験が出来た。
- 定期的に訓練を行いたい。
主には、上記のような意見が出ました。
まとめ
認知症が原因で行方不明になる方が全国で増加。
私の住む地域で、徘徊する方への「声掛け訓練」が行われました。(令和元年6月)
市役所職員、地域の方々、施設職員が参加。
私が「認知症高齢者」役を担当し、感じたことは以下の通りです。
- 腕など体をつかまれるとすごく不快
- 進行方向に立たれると余計に立ち去りたくなる
- 「お茶飲んで休憩しよか」などと言われると嬉しい
私にとっても非常に貴重な経験となりました。
私の住む地域でも、行方不明者が出てしまいました。
当日、その方が歩いているのを数名の地域の方が見ています。
しかし、声を掛けることが出来なかった。
いわゆる「散歩」なのか「徘徊」なのか見分けるのは難しいです。
しかし、「あの時声を掛けていれば・・・」と後悔はしたくありません。
そのための「声掛け訓練」です。
キョロキョロしていたり、一心不乱に歩いていたり、「あれ?」と思ったら即声を掛ける。
そういう地域でありたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。