はじめに
介護は「やりがい搾取」なのでしょうか?

厚生労働省は、勤続10年以上の介護スタッフへアンケート調査を行いました。
アンケートの内容は、「仕事を続ける上で大切なことは?」です。
第一位は、「やりがいがあること」でした。
給料や労働環境よりも、やりがいを求めるのは危険という意見があります。
「やりがい搾取」につながる可能性があるからです。
「介護は、正当な給与をもらえないケースが多い」ということです。
この記事では、介護が「やりがい搾取」になってしまう理由について考えています。
また、「やりがい搾取」から抜け出す方法についても考えています。
この記事は、介護職をしていて「何か損している」と感じている人や、「現状を変えたい」と思っている人に向けて書かれています。
それでは、最初に結論です。
・介護が「やりがい搾取」になる理由
- 「福祉≠お金」のイメージがある
- 前例主義がはびこっている
- 「遠慮=美徳」という勘違い
・「やりがい搾取」から抜け出す方法
- 必要な残業は申請できる環境を
- それが無理なら追加の休憩
- ブラック企業は早めに見切りをつける
それでは、詳しく見て行きたいと思います。
労働組合の代表の発言


10年戦士の介護職が最も重要視するのが「やりがい」でした。
これに対して、労働組合代表が警鐘を鳴らしています。
介護者を守る立場の「労働組合代表」は、以下の声明を出しました。
「介護は、給料以上にやりがいがある」という考え方は危険であり、「やりがい搾取」に繋がるという意見です。
不当に安い賃金や、劣悪な環境で働かされる恐れがあるということです。

「やりがい搾取」にならないためには、やはり「賃上げ」を要求することが大切です。
「福祉≠お金」と考える傾向を、何とか変えて行きたいですね。
正当な対価をもらうことは、必要です!
次の章では、介護が「やりがい搾取」になってしまう理由について考えます。
介護が「やりがい搾取」になってしまう3つの理由

なぜ、介護は「やりがい搾取」になってしまうのか?
その理由の前に、もう一度「搾取」の意味をおさらいです。
介護職は一生懸命頑張っているのに、正当な給与が支払われない。
そのうえ、「この仕事は、やりがいがあるから」と納得してしまうケースが多いということ。
なぜ、こんな風になってしまうのでしょうか?
次章では、その理由を考えて行きます。
「福祉≠お金」のイメージがある

「福祉は人のために働く仕事です。人の為になれた喜びはお金には代えられません。」
こういった考え方が今も残っています。
教会や公共の施設が、福祉施設の前身であるケースも多いです。
「慈悲」の心で介護を行っていた時代もあったと思います。
そのなごりから、
「福祉でお金を求めてはいけない」
という考えが今もあるのかもしれません。
「利用者さんの笑顔が一番!」が「お金は後回し」にすり替えられている。
そういう面が無意識のうちに残っているのかもしれません。

私たちは、職業として介護を行っています。
「奉仕」や「慈悲」の気持ちが必要な場合もありますが、「報酬」はしっかりと求める必要があります。
次の章では、介護にはびこる「前例主義」についてお話しします。
前例主義がはびこっている

前章でお話した、「福祉≠お金」という考え方は介護職の中に潜んでいます。
そして、それは介護にはびこる「前例主義」を生み出します。

私たちの若いころは、残業なんか付けなかったわ!

半人前のうちは、お金のことを言ってはなりません!
先輩たちが自分たちの苦しかったことを、後輩に求める。
こういった悪しき風習が残っていると、労働環境の改善は難しいです。

ここ数年で、コンプライアンスの意識が急速に高まっています。
組織ぐるみで、古い体質を変えていく必要があります。
必要な残業は申請するなど、一歩を踏み出したいですね。
「遠慮=美徳」という勘違い

介護は、定時に帰りにくい仕事です。
特に入所施設では、仕事にキリをつけるのが難しいと思います。

定時になっても、「○○さんのトイレ介助が終わってから帰る。」「現場が落ち着いたら帰る」などキリをつけるのが難しいです。
中には、サービス残業をすることも多いのではないでしょうか?
「わざわざ残業申請してまで」と控える気持ちが、サービス残業につながります。
また、イベントや行事の準備などを家で行うのも同じような事例です。

「遠慮=美徳」という古い考え方が、「やりがい搾取」につながります。
労働に対価を求めることは、何も恥ずかしくありません。
それでは、「やりがい搾取」から脱却する方法について次章で見て行きます。
「やりがい搾取」から脱却するには・・・

何事も一気に変えるのは、難しいです。
小さなことから、コツコツ変えていきましょう。
では、実際にどんなことを行うのか?
次にまとめました。
- 入浴介助で休憩が短くなる場合 ➡ 不足時間を追加休憩する
- イベントや行事の準備 ➡ 就業時間内に行う
- 必要ある残業 ➡ 残業申請を行う

どれも当たり前のことかもしれません。
しかし、サービス残業を行っている人が多く居ます。
「労働=対価」の声を、みんなで大きくしていきたいですね!
また、声を聞き入れないブラック企業は、見切りをつけることも考えましょう。
最後に

いかがでしたでしょうか?
今回は、介護が「やりがい搾取」になってしまう3つの理由についてお話しました。
以下は、おさらいです。
・介護が「やりがい搾取」になる理由
- 「福祉≠お金」のイメージがある
- 前例主義がはびこっている
- 「遠慮=美徳」という勘違い
そして、「やりがい搾取」から脱却する方法については以下の通りです。
・「やりがい搾取」から抜け出す方法
- 入浴介助で休憩が短くなる場合 ➡ 不足時間を追加休憩する
- イベントや行事の準備 ➡ 就業時間内に行う
- 必要ある残業 ➡ 残業申請を行う
長年の風習を変えるのは、簡単なことではありません。
しかし、できることからアクションを起こすことは大切です。
そして、スタッフの声を聞き入れないブラックな企業であれば、退職も視野に入れましょう。
ここ数年で、コンプライアンスの意識は急激に高まっています。

時流に乗れない組織は、間違いなくいつか破綻します。
介護が「やりがい搾取」と言わせない環境を作っていきましょう!
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。