介護のデータベース「LIFE」は天使?それとも悪魔?~でも、ほんとうに怖いのは・・・~

施設での取り組み

 

ぽんてん
ぽんてん

4月の介護報酬改定から2週間が経ちました。

みなさん、忙しい毎日を過ごされていると思います。

今回は、注目の「LIFE」について改めて見ていきたいと思います。

 

みなさん、こんにちは。

 

デイサービスで管理者をしている「ぽんてん」と申します。

 

4月の介護報酬改定から2週間・・・。

 

いろいろ見えてきた事があります。

 

今回のテーマは、

 

「LIFEは結局、わたしたち介護職にとってどうなの?不安要素は?」

 

について考えます。

 

少しネガティブな内容も含んでいますが、様々な視点から見ることも大切です。

 

「すでに申込みしたよ!」という方も、「LIFEって何?」という方もご覧ください。

 

介護に関わる人すべてに関係することです。

 

「LIFE」の概要
  • 自立支援と重度化防止が目的
  • 「LIFE」とは、国が作る巨大なデータベース
  • 事業所は、利用者のデータを「LIFE」へ送り、フィードバックをケアに反映する
  • 以降、6カ月おきに情報送信が必要
  • 加算は月40単位/月、(施設には60単位/月もある)
  • 根拠あるケアを実施し、健康寿命を延ばしたい
  • ロボットやセンサーを活用し、人材不足を軽減したい

 

 

「LIFE」の不安要素
  • 施設のICT化が進んでいない
  • 手間と時間が掛かりすぎる
  • 介護に科学が有効なのか未知
  • 加算設定が低すぎる

 

それでは、詳しく見ていきましょう!

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そもそも「LIFE」とは・・・

 

まずは「LIFE」について、簡単に内容をおさらいしましょう。

目的と流れ

「LIFE」は、既存のデータベースである「CHASE」と「VISIT」を統合する形で構築されました。

 

自立支援・重度化防止が目的です。

 

これまでは職員の経験に頼っていた「介護」を、科学的なものにシフトしていきたい・・・

 

そのために、国が大量のデータを集めて分析。

 

ケア方法を事業所にフィードバックします。

 

これが「LIFE」の目的と流れです。

 

メリット

「LIFE」から、適切なケア方法が送られてくる。

 

そうすれば、事業所は職員の経験に頼らなくても「エビデンスのあるケア」を提供できる・・・

 

結果、

 

①利用者の健康寿命が延びる

 

②ロボットやセンサーの活用で、人手不足を解消できる

 

というメリットが見込まれます。

 

次章では、筆者から見る「LIFE」の現状について書いています。

「LIFE」について当初は・・・

「LIFE」について初めて知ったとき、筆者の心は高まりました。

あこがれ

 

 

介護のデータを集めて、エビデンスのある介護につなげる。

 

筆者は利用者さんへ、こう説明するのをイメージしていました(笑)

 

「あなたのデータが、未来の介護を変えるんですよ!」

 

 

しかし、押し寄せる現実・・・については、次章で見ていきます。

現実

「LIFE」に夢を見た筆者・・・。

 

しかし、現実が目の前に押し寄せる・・・。

 

それは、介護報酬改定の中身でした。

 

デイサービス入浴介助の引き下げや処遇改善のハードル上げ・・・。

 

そして何をするにも、

 

加算ほしけりゃ計画立てろのオンパレード・・・

 

手間ひまかけて、LIFE加算を取得してようやく以前のプラマイゼロくらいかな・・・

 

「そうさ。国は俺たち介護職のことなんか考えちゃいねえ・・・」

 

憧れが一転、こんな風来坊的マイナス思考になってしまいました(泣)

 

やっぱり「LIFE」は悪魔?

 

 

そして、ここに来て暗雲が・・・。

 

「LIFE」にログインできない・・・(LINEじゃないですよ)

 

こんな相談が相次いでいます。

 

システムの不具合です。

 

全老健という権威ある団体はこうコメントしています。

  

 

スムーズなスタートができない状況ですね。LIFEシステム自体に問題ありと考えられる事案もあります。

 

 

全国の施設が「LIFE」に集中アクセスしたのでしょう。

 

システム不具合は仕方ないことですが、スタートにつまづいたと言えます。

 

次章では、「LIFE」の不安要素について見ていきます。

「LIFE」の不安要素

施設のICT化が進んでいない

 

 

まずICTとは・・・

ICT・・情報技術を活用してさまざまな人やモノをつなげていくことで、オンライン会議なども含まれる

 

 

 

「LIFE」には、ICT化が不可欠です。

 

多くのデータを送受信しなければならないからです。

 

しかし、情報通信技術を導入していない事業所は全体の42%にのぼります。

『令和2年度介護労働実態調査(特別調査)による』(介護労働安定センター)

 

理由は、経費がないことやセキュリティに不安があるとのことです。

 

幅広くデータを集めるには、厳しすぎるデータです。

時間と手間が掛かりすぎる

 

 

「LIFE」は、利用者さんのデータを入力し送信する必要があります。

 

小規模ならまだしも、大型デイは厳しいっす・・・。

 

デイ「柱」
デイ「柱」

120名の利用者さんのデータを入力・送信するとなると・・・。

フィードバックをケアに反映する必要もありますし。

LIFE専属の事務員さんが欲しいです!

 

 

次章では、介護に科学が有効なのか考えます。

 

介護に科学が有効か?

認知症対応に科学的介護が通用するのでしょうか?

 

できない理由を探したくない。

 

でも、不安です。

 

病気やリハビリであれば、統計が役立ちますが介護はどうでしょうか。

 

加算Ⅱについては、既往歴、家族環境、服薬状況など、より多くの情報をLIFEに提供します。

 

それでも、100種類以上あると言われる認知症に科学的アプローチが通用するか不安です。

 

 

加算が低すぎる

 

 

利用者一人「40単位/月(施設は60単位も)」

 

これが「LIFE」加算の報酬です。

 

いくらICT化して効率よく情報送信しても、低すぎる報酬です。

 

「LIFE」は未来への投資です。

 

それは理解していますが、経費が理由でICT導入を見送る事業所もあります。

 

もう少し、メリットを感じることのできる報酬額にしてほしいです。

まとめ

 

 

国がやりたいことは理解できます。

 

しかし、今回の介護報酬改定はひどい。

 

見せかけだけの報酬増。

 

ふたを開ければ、「LIFE」を取得しなければマイナス改定も同然です。

 

「LIFE」が悪魔なのではなく、本当に恐いのは厚労省ですね。

 

(コロナ禍で懸命に入浴介助しているデイに対して、入浴加算減の恨みは絶対忘れない)

 

それでは、本日のおさらいです。

 

「LIFE」の概要
  • 自立支援と重度化防止が目的
  • 「LIFE」とは、国が作る巨大なデータベース
  • 事業所は、利用者のデータを「LIFE」へ送り、フィードバックをケアに反映する
  • 以降、6カ月おきに情報送信が必要
  • 加算は月40単位/月、(施設には60単位/月もある)
  • 根拠あるケアを実施し、健康寿命を延ばしたい
  • ロボットやセンサーを活用し、人材不足を軽減したい

 

「LIFE」の不安要素
  • 施設のICT化が進んでいない
  • 手間と時間が掛かりすぎる
  • 介護に科学が有効か未知
  • 加算設定が低すぎる

 

今回は、少しネガティブな内容になってしまいました。

 

筆者の事業所の対応は、

 

この混乱が落ち着いたら、いずれ算定する

 

です。

 

本当は4月から算定したかったのですが、残念です。

 

今後も、「LIFE」をしっかり見ていきたいと思います。

 

皆さんの事業所では、どのように対応されますか?

 

コメントいただけると嬉しいです。

 

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。