「最近、親の声に元気がない…」
「実家に帰ったら、なんだか家の中が散らかっている気がする」
大切なご家族の介護に、不安を感じていませんか?
介護は突然始まることも多く、ご家族が戸惑うのは当然のことです。「誰に相談すればいいの?」「制度って複雑そう…」と感じている方にこそ、お読みいただきたい記事です。
この記事では、介護に必要な手続きや相談先、利用までの流れを、ケアマネジャーの視点でやさしく解説します。
大切なのは、ひとりで抱え込まないことです。ご本人やご家族に最適な介護を始めるために、ぜひお読みください。
親に介護が必要かも…と思ったら、まずやるべきことは?

ご家族の様子が気になり始めたとき。まずやるべきことは、公的な介護サービスを受けるための準備です。
介護は、家族だけで抱え込むものではありません。社会全体で高齢者を支えるための仕組み、それが「介護保険制度」です。
まずは「要介護認定」の申請から
介護サービスを利用するには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。これは「どのくらい介護が必要な状態か?」を、公的に判断してもらう手続きです。
この認定が出ると、介護保険サービスを「自己負担1〜3割」で利用できるようになります。
【申請できる人の条件】
- 65歳以上の方
- または、40歳~64歳で特定の病気(がん末期など)によって介護が必要な方
【参考】厚生労働省「介護保険制度について」
地域包括支援センターに相談してみよう
「いきなり役所で申請するのは、ちょっと不安…」そう思われる方も多いと思います。そんなときに頼れるのが、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは、地域の高齢者支援の「なんでも相談所」です。社会福祉士や保健師、ケアマネジャーなどの専門職が常駐しています。
以下のような相談に乗ってくれます。
- 親が認知症かもしれない
- 転倒をくり返している
- 遠距離介護の不安
- 要介護認定の申請手続きのサポートなど
地域包括支援センターは、公的な機関であり、無料で相談に乗ってくれます。スマートフォンなどで、「○○市(お住まいの市区町村名) 地域包括支援センター」で、すぐに検索できます。
どこに相談しても大丈夫!まずは動き出しましょう!
他にも、市区町村の介護保険担当窓口でも相談できます。
「どちらに行けばいいの?」と迷うかもしれませんが、どちらでも構いません。必要な手続きを丁寧に案内してくれます。
大切なのは、「ひとりで抱え込まず、誰かに相談してみる」ことです。電話一本かけるだけでも、きっと状況は変わります。
【全体像をつかもう】介護サービスを受けるまでの流れ

「相談した後は、どんなことをするの?」そんな不安を感じている方のために、申請から介護サービス開始までの大まかな流れをご紹介します。
ステップ①:認定調査を受ける
要介護認定の申請後、市区町村の調査員がご自宅などに訪問し、心身の状態を確認する面談を行います。
内容は「立ち上がれますか?」「日常生活で困っていることはありますか?」といった簡単な聞き取り調査が中心です。普段の様子を伝えるためにも、できるだけ、ご家族が立ち会われることをお勧めします。
ステップ②:主治医の意見書が作成される
市区町村から、ご本人の主治医に対して意見書の作成依頼が届きます。医学的な視点から、介護の必要性を評価してもらうためのものです。
👉 事前に「介護保険の申請をします」と主治医に伝えておくと、手続きがスムーズになります。
ステップ③:審査・判定 → 結果が届く
調査結果と主治医の意見書をもとに、どれだけ介護が必要かを審査・判定します。
申請から約30日後、「要支援1〜2」「要介護1〜5」または「非該当」の結果が、郵送で届きます。
ステップ④:ケアマネジャーとケアプランを作成
要介護(または要支援)の認定が出たら、いよいよケアマネジャーの出番です。ケアマネジャーは、介護の水先案内人のような存在です。
ご本人やご家族の希望をじっくり聞きながら、ピッタリな介護サービスを選び、「ケアプラン(介護サービスの利用計画)」を作成してくれます。
たとえば…
- 「お風呂に入るのが大変」→ 訪問介護(入浴介助)
- 「昼間ひとりだと不安」→ デイサービス利用
- 「ご家族が数日間、留守にする →ショートステイ利用
といった希望に応じて、サービス事業所との連絡や調整も、すべて調整してくれます。もちろん、介護が始まってからも毎月訪問してくれます。
困ったときは、こんなふうに相談してみましょう

「相談してみよう」と思っても、いざとなると「何をどう話せばいいのか分からない」と感じてしまうこともあると思います。ここでは、よくあるお悩みにお答えしながら、相談の仕方についてご紹介します。
「こんなこと聞いていいのかな?」は全部OK
不安なこと、疑問に思うことは、何でも聞いてみましょう。介護の経験なんて、最初は誰にもありません。
「すごく細かいことだけど…」「グチみたいになっちゃうけど…」そんなふうに相談すること自体をためらってしまう方は、とても多いです。
でも、安心してください。ケアマネジャーや地域包括支援センターの仕事は、ご本人やご家族が「どんなことに困っていて、どんな不安を抱えているのか」を知ることから始まります。
実は、「小さな違和感」「なんとなく不安」といった声の中に、必要な支援のヒントが隠されていることも多いのです。
だからこそ、「こんなこと聞いていいのかな?」という相談こそ、歓迎されます。どうぞ遠慮なく、どんなことでもお話しください。
ケアマネと相性が合わないときは?
ご本人やご家族、ケアマネジャーも人間です。
時には、「なんとなく話しづらい」「提案が合わない」など、相性の問題が出てくることもあります。でも、大切なご家族の介護を任せるパートナーだからこそ、我慢する必要はありません。
ケアマネジャーは変更できます。変更を希望する場合は、現在のケアマネジャーが所属する事業所や、地域包括支援センターに相談してみてください。
担当の交代や事業所の変更も可能です。安心してご相談くださいね。
気持ちがしんどいとき、頼っていい場所もある
介護は、身体だけでなく心にも大きな負担がかかるものです。
「介護うつ」という言葉があるように、介護者ご自身が追い詰められてしまうケースもあります。介護者が体調を崩してしまうと、ご本人にとっても良い結果は期待できないでしょう。
気持ちがつらくなったときは、どうかひとりで抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターに、心の内を話してみてください。
「聞いてもらえた」それだけで、気持ちが少し軽くなることもあります。
また、同じ立場の介護者同士で悩みを分かち合える「家族会」や、自治体のこころの相談窓口なども活用できます。
あなたは、ひとりじゃありません。頼れる場所は、きっとあります。
まとめ|ひとりで抱えず、まず一歩を踏み出そう

ご家族の介護は、ある日突然、始まる可能性があります。戸惑いや不安を感じるのは、自然なことです。
この記事でお伝えしたかった一番大切なこと。
それは・・・
「どうか、ひとりで抱え込まないでください」
ということです。
介護の不安を支えるために、介護保険制度があります。相談できる場所も。そして、寄り添ってくれる専門職もいます。
ひとりじゃないと思える仕組みが、きちんと用意されているのです。
もし今、ご家族のことで悩んでいるなら、まずはお住まいの地域の「地域包括支援センター」に電話をしてみましょう。
この記事が、あなたやご家族が安心して過ごせるきっかけになれば嬉しいです。