「介護保険で、どうして眼鏡や補聴器は安く買えないの?」「介護保険のリフォーム、どこまで使用できるんだろう…」
そんなお悩みを抱えていませんか?
介護保険では「適用になる部分とならない部分」の境目が複雑です。適用になることを知らずに購入してしまうと、本来受けられるはずだった補助が支給されないこともあります。

制度をしっかり理解しておかないと、損してしまうんですね

全て覚える必要はありませんが、介護保険が適用にならず損をしてしまう方もおられます。まずは、ケアマネジャーに相談いただくのがベストです。
この記事では、現役ケアマネジャーの視点から、介護保険の「使えないもの一覧(眼鏡・補聴器・リフォームなど)」と、その理由を分かりやすく解説します。自治体の助成金や医療費控除についても紹介しますので、最後までお読みください。
なぜ使えない? 介護保険の対象外になる「3つの原則」

ここでは「介護保険の適用になりそうだけど対象外」となるケースを3つ紹介します。
- 個人的な「日常生活用具」
- 他の制度でカバーすべきもの
- 「資産形成」や「家族のため」の利用になるもの
それでは、一緒にみていきましょう。
理由1:個人的な「日常生活用具」である(眼鏡・補聴器など)
一つ目の原則は「介護が必要になる前から使っているものや高齢者が一般的に使うものは対象外」というルールです。
これらは「自助具」や「日常生活用具」と呼ばれます。例えば、眼鏡や補聴器、入れ歯などは、介護認定を受けていない方でも使っておられます。

身体は元気で、眼鏡や補聴器だけ使用している人もいますね。

「介護のため」というよりは「生活必需品」に近いこれらは、公的な保険ではなく、自分のお金で用意すべきものと判断されています。
理由2:「医療保険」など他の制度でカバーすべきもの
「他の保険との二重取りはできない」というルールです。日本には、介護保険の他にも、医療保険や障害福祉制度などがあります。
例えば、病院でのリハビリや、治療のために使う装具(コルセットなど)には、医療保険が適用されます。そこに、介護保険を重ねて使うことはできません。
理由3:「資産形成」や「家族のため」の利用になるもの
三つ目の原則は「税金を使って個人の資産を増やしたり、ご家族のためにサービスすることはできない」というルールです。
例えば、ご自宅の「新築」や「増築」に保険を使ってしまうと、結果的にその家の資産価値が上がることになります。個人の資産形成に税金を使うのは不公平です。
また、同居しているご家族のためにヘルパーが家事をすることも介護保険では認められません。
【物・福祉用具】介護保険で「購入・レンタル」できないもの一覧

それでは、ここからは具体的に「介護保険が適用にならないもの」を見ていきましょう。まずは、判断に迷いやすい「物(福祉用具)」からです。

「似ているけれど、これはダメ」という引っかけ問題のような用具が多いので、詳しく解説しますね。
【要注意】「シルバーカー」はNG「歩行車」はOK!違いは何?
街でよく見かける、高齢者が押して歩く手押し車。これには「シルバーカー」と「歩行車(歩行器)」の2種類があります。見た目は似ていますが、介護保険が使えるのは「歩行車」だけです。「シルバーカー」は対象外となっています。なぜなら、設計の目的が全く違うからです。


介護保険が適用になる歩行器を購入したいときは、必ず事前にケアマネジャーや専門家に相談ましょう。購入後では、介護保険を適用できないことがあります。
よくある勘違いNGリスト(眼鏡・補聴器・入れ歯・シルバーカー)
ご家族から要望が多いけれど、全額自費(購入)となってしまう代表的なアイテムをまとめました。

- 眼鏡・老眼鏡:視力を補う道具は対象外です。
- 補聴器:数十万円するものもあり、ニーズは高いですが対象外です。
- 入れ歯:これは「医療保険(歯科)」の領域です。
※自治体によっては「高齢者補聴器購入費助成事業」を行っている場合があります。ケアマネジャーや市区町村の窓口へ確認してみましょう。
【条件付きNG】旅行用の「車椅子」や軽度者の「電動ベッド」
「車椅子」や「電動ベッド(特殊寝台)」は、介護保険でレンタルできますが、誰でも借りられるわけではありません。

車椅子やベッドは、介護度によってはレンタルできないんですね。

はい。でも、多くの福祉用具事業者さんは、軽度者でも安価でレンタルできる「自費レンタル用」の車椅子やベッドを用意してくれています。まずはケアマネジャーへ相談してみてください。
① 軽度者(要支援・要介護1)は原則NG:自力で歩ける、起き上がれる可能性が高い「軽度者」の場合、過剰な用具はかえって筋力を衰えさせるため、原則としてレンタルできません。
ただし、例外もあります。「パーキンソン病で薬が切れると動けなくなる」や「がん末期で急激に状態が変化している」などの事情がある場合は、医師の所見があれば軽度者でも借りられるケースがあります。
② 一時的な利用(旅行・冠婚葬祭):「旅行に行く2日間だけ車椅子を借りたい」という使い方は「日常生活の支援」ではないため、介護保険は使えません。この場合は、社会福祉協議会の無料貸し出しなどを利用しましょう。
【2024年改正】杖や歩行器は「レンタル」か「購入」か選べるように
これまで「杖」や「固定型歩行器」は、原則レンタルのみのルールが複雑でしたが、2024年の制度改正で大きな変化がありました。
多点杖や固定型歩行器などが「レンタルするか、購入するか」を利用者が選べるようになったのです。長く使うなら「購入」した方が総額は安くなりますし、状態が変わりやすいなら「レンタル」のままが良いでしょう。どちらがお得か、専門家である「福祉用具専門相談員」がシミュレーションしてくれます。
【要注意】「オムツ代」は介護保険では戻ってこない?
「ポータブルトイレ」は購入費用の9割(または7〜8割)が戻ってくる「特定福祉用具販売」の対象ですが「紙オムツ」は対象外です。理由は、オムツは「消耗品」であり、一度使ったら終わりのものは「用具」とはみなされないからです。

多くの自治体で「紙オムツ支給事業」や「助成券」の配布を行っています。また、確定申告で「医療費控除」の対象(おむつ代)として申告することも可能です。その場合は、医師の証明書が必要です。
【住宅改修】介護保険で「リフォーム」できない工事

介護保険には、20万円を上限に工事費の9割(または7〜8割)が支給される「住宅改修費支給」という制度があります。しかし、これは「手すりをつける」「段差をなくす」など6種類の工事に限定されています。
対象外リスト(新築・増築・老朽化の修繕・本人以外の部屋)
以下のような工事は、全額自己負担となります。
- 新築・増築・建て替え:資産形成にあたるためNGです。
- 老朽化による修繕:雨漏りの修理、剥がれた壁紙の張り替え、壊れた給湯器の交換などはNGです。「古くなったから直す」ではなく、「介護のために必要だから直す(和式トイレを洋式にする等)」でなければなりません。
- 本人以外の部屋:家族の寝室や、本人が普段使わない2階のトイレなどは対象外です。
介護保険以外の「住宅改造助成」をチェック
「20万円じゃ足りない!」という場合でも、対応できるケースもあります。お住まいの自治体によっては、介護保険とは別の「高齢者住宅改造助成事業」を行っていることがあります。
自治体によっては、30万円〜50万円程度の助成金が出るケースもあります。「〇〇市 高齢者 住宅改修 助成」で検索するか、ケアマネジャーに確認してみましょう。
【施設・医療】入院中や施設で介護保険は使える?

ご本人が「どこにいるか」によって、使える保険は「医療保険」と「介護保険」で切り替わります。
入院中は介護保険が「ストップ」する理由(医療保険優先)
病院に入院した日から、介護保険は一切使えなくなります。ヘルパーさんも来られませんし、通っていたデイサービスもストップします。理由は、病院は「治療」の場であり、身の回りの世話は看護師さんなどの業務(医療保険)に含まれるからです。

入院したら、ヘルパーさんには来てもらえないんですね。

そうなんです。ご本人の洗濯物などは、ご家族が対応する必要があります。入院されたら、すぐにケアマネジャーへ連絡してください。
【要注意】入院が決まったら、すぐにケアマネジャーに連絡し、レンタルの休止か返却の手続きを行いましょう。入院中は介護保険が使えないため、そのままにしておくとレンタル料が「全額自己負担」になってしまいます。
【例外】入院日・退院日のヘルパー利用はOKな場合も
「入院した当日」と「退院した当日」は、ご自宅にいる時間帯があるので、ヘルパーを利用できる場合があります。
- 入院する日の午前中: ご自宅でヘルパーが入浴介助をしてから病院へ → OK
- 退院した日の午後: 帰宅後にヘルパーが買い物代行をして夕食を作る → OK
これにより、退院直後の不安な生活をスムーズに再開できます。
【人・サービス】訪問介護(ヘルパー)で頼めないこと

最後に「人(ヘルパー)」に関するNGです。こちらについては、別の記事で詳しく解説しています。重要なポイントをおさらいしましょう。
「同居家族」がいると家事は原則NG|でも「例外」がある
原則として「同居家族」がいる場合、掃除・洗濯・調理などの「生活援助」は利用できません。「家事は、ご家族ができるから」と判断されるからです。
しかし「やむを得ない事情」があれば例外的に認められます。
「忙しいから」ではなく、「物理的に不可能」という状況をケアマネジャーに伝え、役所と交渉してもらうことが大切です。
ヘルパーさんへ「お願いできること・できないこと」
介護保険の訪問介護(ヘルパーさん)にお願いできるのは「ご本人」の「日常生活に最低限必要なこと」に限る、というルールがあります。


こうした迷いやすい細かいNG事例や、断られた時の対処法については、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。
介護保険の訪問介護では対応できないことでも「自費ヘルパー」なら、ご本人の要望に合わせて柔軟に対応可能です。
中でも、さまざまな要望に応えてきた実績を持つ「イチロウ」がおすすめです。
※現在は、関東・関西・東海などの都市部を中心に展開しています。
専用アプリからネット予約ができ、最短で当日の依頼も可能。急な退院や、年末年始の帰省に合わせてスポット利用する方も多いです。
サポート終了後には写真付きのオンラインレポートが届くので、離れて暮らすご家族でも安心してお任せできます。
まとめ:介護保険制度の「隙間」を賢く埋めましょう

今回は、介護保険で「使えないこと」と、その理由について解説しました。
重要なポイントを振り返ってみましょう。

介護保険制度は複雑で、適用にならないケースも少なくありません。しかし、私たちケアマネジャーは「制度の隙間」を埋める方法も知っています。ひとりで悩まず「他に使える制度はない?」と、お気軽に相談してみてくださいね。
また、どうしても介護保険で対応できない困りごと(ペット、大掃除、院内介助など)については、制限のない「自費ヘルパー」を活用するのも賢い選択です。
自費ヘルパーを選ぶ際には、24時間365日さまざまな要望に応えてくれる「イチロウ」がおすすめです。
※現在は、関東・関西・東海などの都市部を中心に展開しています。
専用アプリからネット予約ができ、最短で当日の依頼も可能。急な退院や、年末年始の帰省に合わせてスポット利用する方も多いです。
サポート終了後には写真付きのオンラインレポートが届くので、離れて暮らすご家族でも安心してお任せできます。


