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親を施設に入れて後悔…ケアマネが伝えたい罪悪感との向き合い方

施設入所に迷ったら

「親を施設に入れたことを後悔している」「罪悪感で気持ちが重い」

このようなお悩みはありませんか?
この記事では、現役ケアマネジャーの視点から、以下の内容を解説します。

 

この記事でお伝えしたいこと
  • 後悔を感じる具体的な理由と体験談
  • 心を軽くするための気持ちの向き合い方
  • 今日からできる具体的な行動と相談先

 

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

多くのご家族と接してきた経験をもとに、あなたの心を軽くするヒントをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

 

  1. なぜ?多くの人が「親を施設に入れた後悔」を感じてしまう3つの理由
    1. 理由1:「親を見捨ててしまった」という罪悪感
    2. 理由2:入居後にご家族の状態が悪化したように見える
    3. 理由3:「もっと在宅で頑張れたのでは」という自責の念
  2. ご家族の体験談:「親を施設に入れた後悔」を感じた瞬間
    1. ケース1:面会で「家に帰りたい」と言われてつらい
    2. ケース2:施設の対応に不満や不安を感じてしまう
    3. ケース3:周りの目や親戚の言葉が気になってしまう
  3. 心を軽くする「親を施設に入れた後悔」との向き合い方4ステップ
    1. ステップ1:まずはご自身の限界までの頑張りを認める
    2. ステップ2:施設を選んだ「決断」を客観的に振り返る
      1. 介護が大変だった頃の記録や気持ちを書き出してみる
      2. 介護から離れたことで生まれた時間や心の余裕を再確認する
    3. ステップ3:「在宅介護の限界」は誰にでもあると理解する
    4. ステップ4:あなたの人生も大切にする視点を持つ
  4. 「親を施設に入れた後悔」を乗り越え、これからできる具体的な行動
    1. 親御さんとの関わり方を見直す
      1. 面会の「時間」より「質」を高める工夫
      2. 電話やオンライン面会も活用する
    2. 施設との連携を強化する
      1. ケアマネジャーや相談員に今の気持ちを相談してみる
      2. ケアプランの見直しを提案し、親への関わり方を増やす
    3. どうしても施設が合わない場合は「転居」も選択肢のひとつ
  5. 【ケアマネ解説】親を施設に入れた後悔に関するよくある質問
    1. Q1. 認知症が悪化したように感じます。今からでも在宅介護に戻すべき?
    2. Q2. 施設に不満がある場合、どこに相談すればいい?
    3. Q3. 親を安心させる面会時の会話のコツはありますか?
  6. まとめ:後悔をひとりで抱え込まないでください

なぜ?多くの人が「親を施設に入れた後悔」を感じてしまう3つの理由

ご家族が施設入居された後に、多くの方が後悔してしまうのには、主に3つの理由があります。

  1. 「親を見捨ててしまった」という罪悪感
  2. 入居後に親の状態が悪化したように見える
  3. 「もっと在宅で頑張れたのでは」という自責の念

それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。

理由1:「親を見捨ててしまった」という罪悪感

後悔を感じる最も一般的な原因は「親を見捨ててしまった」という罪悪感です。これは、親御さんを深く想っているからこそ生まれる感情といえます。

これまで慣れ親しんだご自宅から、親御さんを離れさせてしまったことに対し「自分の選択は親を不幸にしたのではないか」と感じてしまうのです。特に、面会時に寂しそうな表情を見たりすると、罪悪感は一層強くなります。

この気持ちが、施設に入れたことへの後悔につながってしまうのです。

理由2:入居後にご家族の状態が悪化したように見える

入居後に、親御さんの状態が悪化したように見えることも、後悔につながる理由です。環境の変化によるストレスや集団生活への戸惑いから、一時的に気持ちが不安定になったり、元気がなくなったりすることは少なくありません。

 

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

例えば「施設に入ってから口数が減った」「表情が乏しくなった」などの変化を目の当たりにすると「自分のせいで悪化したかもしれない」とご自身を責めてしまいがちです。

 

理由3:「もっと在宅で頑張れたのでは」という自責の念

「もっと在宅で頑張れたのではないか」という、ご自身を責める気持ちも後悔の原因です。介護から離れ、心身に余裕が生まれると、在宅介護で大変だった頃の記憶が薄れ「あの時もっとこうすれば、まだ家でみられたかもしれない」と考えてしまうことがあります。

しかし、施設入所は、ご家族が限界まで頑張った末の決断だったはずです。過去の選択を「もっとできた」とご自身を責める気持ちが、後悔につながってしまうのです。

ご家族の体験談:「親を施設に入れた後悔」を感じた瞬間

後悔を感じているのは、あなただけではありません。ここでは、私がケアマネジャーとして実際に見聞きしてきた3つのケースをご紹介します。

  • ケース1:面会で「家に帰りたい」と言われて辛い
  • ケース2:施設の対応に不満や不安を感じてしまう
  • ケース3:周りの目や親戚の言葉が気になってしまう

それでは、順番に解説いたします。

ケース1:面会で「家に帰りたい」と言われてつらい

面会時に、ご家族から「家に帰りたい」と言われることは、最もつらい瞬間といえるでしょう。親御さんを想う気持ちと、在宅介護が困難である現実との間で、板挟みになってしまうからです。

例えば、涙ながらに「帰りたい」とお願いされたり、寂しそうな表情で見つめられたりすると「自分の決断が間違っていたのではないか」と後悔の気持ちを感じてしまいます。

しかし、これは新しい環境に不安を感じた結果として出る言葉であることも多く、決してご家族を責めているわけではありません。こうした気持ちを理解するだけでも、後悔の重さは軽くなるものです。

ケース2:施設の対応に不満や不安を感じてしまう

次によくあるのが、施設スタッフの対応や、介護サービスの質に不満を感じたときです。例えば「もっと丁寧に接してほしい」と思ったり、「親の変化を伝えてくれなかった」と不安を覚えたりすることがあります。

その結果「別の施設を選ぶべきだったのでは」と後悔してしまうこともあるかもしれません。

 

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

介護施設に不満を感じる場合には、施設側へ気になることを伝えてみましょう。そうすることで、改善できる場合も多いです。施設とのコミュニケーションを大切にしましょう。

  

ケース3:周りの目や親戚の言葉が気になってしまう

介護に直接関わっていない親戚やご近所さんからの言葉をきっかけに、後悔を感じることもあります。たとえ悪意はなくても「かわいそう」「まだ家でみられたのでは?」といった発言で、罪悪感を覚えてしまうこともあるのです。

しかし、実際に介護の現場で奮闘してきたのは、ご家族です。その苦労や背景を知らない人に責められる必要はありません。

※特養入所の際に、かわいそうと感じる考え方について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

心を軽くする「親を施設に入れた後悔」との向き合い方4ステップ

「親を施設に入れた後悔」という気持ちは、多くのご家族が抱く自然な感情です。ここでは、4つのステップに分けて向き合い方を解説します。

  1. ご自身の頑張りを認める
  2. 「決断」を客観的に振り返る
  3. 「在宅介護の限界」は誰にでもある
  4. あなたの人生も大切にする視点を持つ

それでは、順番に解説していきます。

ステップ1:まずはご自身の限界までの頑張りを認める

まずは、施設入所を決断するまで、ご自身が在宅介護を頑張ってきた事実を認めてあげることです。後悔している方ほど、ご自身の努力を「足りなかった」と過小評価してしまう傾向にあります。

しかし、愛情があったからこそ、悩み、苦しみながらも、親御さんと向き合ってこられたのです。ご自分を責める前に、これまでの頑張りを受け入れ、ねぎらってあげましょう。

ステップ2:施設を選んだ「決断」を客観的に振り返る

次に、施設入所を決断したときの状況を客観的に振り返ってみてください。時間が経つと、当時の記憶が薄れ「もっとやれたはず」と思い込みやすくなるためです。

介護が大変だった頃の記録や気持ちを書き出してみる

当時の日記や介護記録を見返したり、眠れない夜が続いたことや精神的に追い詰められていた気持ちなどを具体的に書き出してみたりしましょう。

振り返ると「たいしたことではなかったのかも」と感じやすいものですが、実際には相当なエネルギーを使っています。記録を見返すと「自分はこれだけ頑張っていた」と客観的に認められ、後悔の気持ちを軽くできます。

 

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

私が担当した方の中には、親御さんが施設へ入所されたのを機に、ご自身の血圧が安定した方もおられます。それほど、介護の負担はご自身でも気づかないうちに蓄積されていることがあるのです。

 

介護から離れたことで生まれた時間や心の余裕を再確認する

施設に入所してから生まれた時間や心の余裕に気づくことも大切です。介護から少し距離をとることで、睡眠や食事のリズムが整い、気持ちにゆとりが生まれた方も多いはずです。

変化を意識することで、施設入所は親御さんとご家族の両方にとって必要な選択だったと考えやすくなり、後悔を軽くできます。

ステップ3:「在宅介護の限界」は誰にでもあると理解する

在宅介護を続けることには、必ず限界があります。どんなに献身的に頑張っても、心身の負担が大きくなって、介護者自身の健康を損なうリスクが高まります。

介護は、愛情だけで乗り越えられるものではありません。認知症の進行や医療的ケアが必要になる場面では、専門的な知識や設備、マンパワーが必要です。

施設入所は、より専門的なケアへと移行するための適切な選択です。親御さんとご家族の生活を安定させるための合理的な判断だったと考えましょう。

ステップ4:あなたの人生も大切にする視点を持つ

最後に、親御さんだけでなく、あなた自身の人生も大切にする視点を持つことが大切です。介護者が、心身共に健康であってこそ、親御さんと良好な関係を保てます。

施設という介護のプロに任せることで、穏やかな気持ちで親御さんと接する時間を取り戻せるのです。

 

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

あなたが笑顔でいることが、結果的に親御さんの安心につながることを忘れないでください。

 

「親を施設に入れた後悔」を乗り越え、これからできる具体的な行動

後悔する気持ちを乗り越えるには、これから何ができるかを考え、行動に移すことが大切です。ここでは、今からできる具体的な行動3つをご紹介いたします。

  • 親御さんとの関わり方を見直す
  • 施設との連携を強化する
  • どうしても施設が合わない場合は「転居」も選択肢の一つ

それでは、順番に見ていきましょう。

親御さんとの関わり方を見直す

小さな工夫でも「親とつながっている」という実感が持てれば、後悔の気持ちは少しずつ軽くなります。

面会の「時間」より「質」を高める工夫

面会では頻度や滞在時間よりも、「質」を意識することが大切です。短い時間でも、親御さんが「大切にされている」と感じられるような関わり方をすれば、面会に満足感を得られます。

例えば、

  • 好きな食べ物を一緒に食べる
  • 昔の写真を見ながら思い出話をする
  • 簡単なマッサージをしてあげる

などの工夫が喜ばれるでしょう。

会話が続かなくても、ただそばに寄り添うだけでも安心感は伝わります。一緒に過ごす時間を大切にする姿勢が、親御さんの笑顔を引き出し、後悔の気持ちを軽くするのです。

電話やオンライン面会も活用する

忙しくて頻繁に訪問できなくても、つながりは保てます。電話をするだけでも、親御さんは安心し、連絡をくれたことに満足されるでしょう。

さらに、多くの施設ではタブレット端末を使ったオンライン面会も可能です。顔を見ながら話すことで表情や雰囲気が伝わり、お互いの不安を和らげる効果があります。直接会えなくても、電話やオンライン面会を活用し、後悔の気持ちを軽くできるのです。

施設との連携を強化する

後悔を軽くするためには、施設を「任せる場所」ではなく「協力するパートナー」と考えることが重要です。

ケアマネジャーや相談員に今の気持ちを相談してみる

後悔や不安を抱えているときは、ひとりで抱え込まずに、施設のケアマネジャーや相談員へ相談してみましょう。彼らは介護の専門家であり、きっとつらい気持ちを理解してくれます。

「面会で、帰りたいと言われた」「食事が進んでいないようで心配」など、具体的に伝えましょう。気持ちを共有することで心の負担が軽くなり、施設との信頼関係も築けます。

 

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

ケアマネジャーや相談員は、ご家族の味方です!どんなことでも、お気軽に相談してくださいね。

  

ケアプランの見直しを提案し、親への関わり方を増やす

親御さんの状態や気持ちの変化に合わせて、ケアプラン(介護の目標やサービス計画書)の見直しを施設に提案するのも有効です。ケアプランは、定期的に見直されるものであり、ご家族の意向を反映させられます。

例えば、リハビリの目標を一緒に設定する、施設でのレクリエーションに希望を伝えるなど、具体的に関われる場面も少なくありません。

このように積極的に関わることによって「自分もケアに関わっている」という実感を得られ、後悔の気持ちを軽減できます。

どうしても施設が合わない場合は「転居」も選択肢のひとつ

さまざまな工夫をしても状況が改善されず、どうしても施設の方針や雰囲気が合わないと感じる場合は「転居」も選択肢です。

親御さんにとって施設は生活の場であり、心穏やかに過ごせる場所でなければなりません。我慢を続けることが必ずしも最善とは限らないのです。

転居には労力がかかりますが、まずはケアマネジャーに相談し、情報収集から始めてみましょう。

【ケアマネ解説】親を施設に入れた後悔に関するよくある質問

最後に、現役ケアマネジャーとして、ご家族からよく寄せられる質問にお答えします。多くの方が、同じような疑問や不安を抱えていますので、ぜひ参考にしてください。

Q1. 認知症が悪化したように感じます。今からでも在宅介護に戻すべき?

結論から申し上げますと、すぐに在宅介護に戻すことは慎重に考えるべきです。なぜなら、環境の変化で一時的に症状が不安定になることはよくあり、施設生活に慣れることで落ち着くケースも多いからです。

まずは主治医や施設スタッフに状況を詳しく確認し、リハビリや日課の工夫など改善策を一緒に考えることをお勧めします。感情的に決断せず、専門家と連携することが大切です。

 

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

安易に環境を変えると、親御さんの負担も大きくなってしまいます。施設スタッフと共に、今後のケアについてお話されることをおすすめします。

 

※施設利用と認知症の進行については、以下の記事で詳しく解説しています。

Q2. 施設に不満がある場合、どこに相談すればいい?

施設への不満は、段階を踏んで相談することが大切です。まずは施設内の窓口に相談しましょう。現場のスタッフ、それでも改善しなければ、施設の管理者や生活相談員に伝えます。

内部での解決が難しい場合や、虐待など重大な問題が疑われる場合は、ひとりで抱え込まず外部の公的な窓口を活用してください。お住まいの市区町村の高齢福祉課や介護保険課、地域包括支援センターなどが相談先です。

中立な立場で苦情を受け付けてくれる、都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)も覚えておくとよいでしょう。

【参考】埼玉県「サービスに関する苦情相談窓口のご案内

Q3. 親を安心させる面会時の会話のコツはありますか?

親御さんを安心させる会話のコツは、相手の話を否定せずに聞き、共感する姿勢を示すことです。特に認知症をお持ちの方は、話の内容よりも、ご自身の気持ちを受け止めてもらえたかどうかが重要です。

「家に帰りたい」という言葉には「帰れません」と伝えるのではなく「お家に帰りたいんだね」と、まずはその気持ちに寄り添ってあげましょう。その上で、施設の食事の話題や、昔の楽しい思い出話など、穏やかな気持ちになれる会話に切り替えるのが有効です。

 

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

会話が続かなくても、手を握るなどのスキンシップで安心感は伝わります。大切なのは「一緒に時間を過ごしている」という姿勢を示すことです。

 

まとめ:後悔をひとりで抱え込まないでください

この記事では、「親を施設に入れた後悔」と向き合うための方法を解説しました。

大切なのは、つらい気持ちをひとりで抱え込まず、ご自身の頑張りを認めてあげることです。後悔の気持ちは、愛情が深いからこそ生まれる自然な感情であり、今後の関わり方で必ず乗り越えられます。

この記事のポイントは以下の通りです。

   

この記事のポイント
  • 後悔の気持ちと向き合い、施設入所までのご自身の頑張りを認める
  • 面会の質を高めたり、施設と連携したり、今できることを行動に移す
  • つらいときは、ケアマネジャーや相談員などの専門家に相談する

  

朝水ケアマネ
朝水ケアマネ

大切なのは「施設に入所したこと」ではなく「これからどう関わるか」です。施設入所後も、ご家族にできることは、たくさんあります。

 

この記事が、あなたの心を少しでも軽くし、親御さんとの穏やかな関係を築くためのきっかけになれば幸いです。