「担当ケアマネの対応が遅い、話を聞いてくれない…」「変更したいけど、誰にどう伝えればいいのだろう?」
このようにお悩みではありませんか?
ケアマネジャーとの関係は、あなたとご家族のQOL(生活の質)を大きく左右します。我慢を重ねて後悔する前に、適切な対処法を知ることが大切です。

人間同士ですから、相性が合わないこともあります。ケアマネジャーは、交代することも可能です。決してムリはしないでくださいね。
この記事では、現役ケアマネジャーが「最悪なケアマネジャー」の特徴や注意点から、円満に変更するための手順、良いケアマネジャーを選ぶポイントまで解説します。ぜひ最後までお読みください。
これって最悪なケアマネジャー?3つの視点で見極めるチェックリスト

「今の担当者は本当に信頼できる?」と疑問に思ったとき、客観的に判断するための基準が必要です。ここでは、ケアマネジャーを見極めるための「3つの視点」をチェックリスト形式でご紹介します。
- 対応・コミュニケーション
- 知識・提案力
- 中立性・倫理観
ご自身の状況と照らし合わせながら、一つずつ確認していきましょう。
対応・コミュニケーションに関する特徴
連絡が遅い・雑で話を聞かない
まず見極めるべきなのは、ケアマネジャーの誠実さやコミュニケーションの質です。連絡が遅い、話の途中で話を遮るなど、基本的な対話の姿勢に問題がないかを確認しましょう。
こちらの不安や要望を親身に聞かず、自分の意見を押し付けてくるような場合は注意が必要です。日々のやり取りの中で、相手を尊重する姿勢があるかどうかを注意深く観察してください。
態度が高圧的で、説明が不十分
ケアマネジャーが高圧的な態度をとったり、専門用語ばかりで説明が不十分だったりする場合も注意しましょう。ケアマネジャーとご本人・ご家族は対等な立場です。
共にケアプランを作り上げるパートナーであり、一方的に「こうするべきです」と決めつける姿勢は、望ましいとは言えません。介護保険制度は複雑だからこそ、分かりやすい言葉で丁寧に説明してくれるかどうかが大切なポイントです。

ケアマネジャーにも個性はあります。しかし、ご本人やご家族から「この人は話しやすい」と思ってもらえなければ、信頼関係は築けませんよね。
知識・提案力に関する特徴
新しいサービスの提案がない・知識が古い
いつも同じようなサービスしか提案しなかったり、質問に曖昧に答えたりする場合は、ケアマネジャーの知識や情報収集能力に問題があるかもしれません。
介護に関連するサービスは多様化しており、新しい福祉用具や地域独自の支援策も増えています。ご本人の状態や希望に合わせて、常に最新かつ最適な選択肢を提示するのが専門家としての務めだからです。
例えば、最近始まった配食サービスや見守りサービスなどの情報を全く提供してくれない、といったケースが考えられます。したがって、ご本人の生活がより良くなるような「新しい選択肢」を情報提供してくれるかは、重要な判断材料なのです。
書類や手続きのミスが多い
書類の手続きやサービス事業所との調整にミスが多いケアマネジャーも、信用できません。
- 必要書類を何度も書き直しさせられる
- デイサービスやショートステイの希望日を間違える
- 介護保険更新の手続きを忘れるもしくはギリギリ
書類の遅れや記載ミスがあると、サービスの開始が遅れたり、給付が受けられなくなったりします。
誰にでも、ミスはあるものです。しかし、同じようなミスを繰り返す場合は「最悪なケアマネジャー」と評価されても仕方ありません。
中立性・倫理観に関する特徴
利用者より特定の事業所の都合を優先する
ご本人やご家族が希望する事業所よりも、ケアマネジャーが特定の事業所ばかりを紹介したり強く勧めるのは、不適切な対応といえるでしょう。ただし、この点はとても難しく、実際にその事業所の評判が悪かったり、利用者の満足度が低かったりする場合もあります。
そのため、すべてが不適切とは限りません。しかし、毎回希望とは異なる事業所を繰り返し提案されるような場合は、注意して見極める必要があります。
【要注意】法律・倫理違反!ケアマネジャーの禁止事項
ケアマネジャーには、法律や倫理規定で禁止されている行為があります。これらはご本人やご家族の尊厳や権利を守るための最低限のルールであり、違反があれば重大な問題となります。
主な禁止事項は、以下の通りです。
- ご本人やご家族から金品を受け取ること(贈収賄)
- 正当な理由なく個人情報を第三者に漏らすこと(守秘義務違反)
- 利用者への虐待や不適切な言動
- 特定の事業所やサービスに利益誘導する行為

このようなことは滅多にありませんが、万一該当する場合は、速やかに行政への通報をお願いします。
これで安心!最悪なケアマネジャーへの対処法

担当者が「最悪なケアマネジャー」だと感じた場合、感情的に動くのではなく、冷静に段階を踏んで対処することが大切です。ここでは、具体的な対処法を4つのステップで解説します。
- 不満点を客観的な事実として記録・整理する
- 担当者本人や所属事業所の責任者と話し合う
- 担当ケアマネジャーを変更する
それでは、詳しく解説いたします。
ステップ①:不満な点を記録・整理する
まず、不満を感じたことを記録・整理しておきましょう。感情だけを伝えても「言った・言わない」の水掛け論になりやすく、建設的な議論につながりません。
例えば「言い回しがキツく感じた」「〇月〇日に電話したが、折り返しがなかった」といったように、日時や内容を記録しておきましょう。このような記録は、後の話し合いや相談の場で、問題点を正しく伝える根拠になります。
ステップ②:担当者本人や所属事業所の責任者と話し合う
次は担当者本人、または事業所の管理者(責任者)に話し合いの場を設けてもらいましょう。不満の原因が、単なる誤解やコミュニケーション不足である場合も少なくないからです。
対話することで、相手の考えを理解できたり、こちらの要望を伝えることで状況が改善されたりする可能性があります。ステップ1で記録したメモをもとに、「〇月〇日の対応について相談したい」と伝え、改善を求めるのが有効です。

担当者本人と直接話すのは気が引けるかもしれません。そんなときは、管理者へ連絡し、話し合いの場を設けてもらいましょう。
ステップ③:担当ケアマネジャーを変更する
話し合いをしても状況が改善されない、または信頼関係の回復が難しいと判断した場合は、担当ケアマネジャーの変更を検討しましょう。
変更の手続きは、難しいものではありません。
具体的な手続きと流れ
ケアマネジャーの変更手続きは、所属事業所の管理者に変更したい旨を伝えることから始まります。まずは、事業所内で担当者を交代できないか調整するのが一般的です。
事業所ごと変更したい場合は、その旨を伝えて、地域包括支援センターなどに相談して次の依頼先を探します。
依頼の流れは、
- 現在の事業所へ変更の意思を伝える
- 新しい事業所を探し、契約
- 引継ぎ
となります。
重要なのは、現在の契約を終了する前に次の依頼先を見つけておくことです。スムーズな引継ぎのためにも、計画的に進めましょう。
変更を伝える際の注意点と例文
変更を連絡する際は、感情的にならず、客観的な事実に基づいて簡潔に理由を伝えましょう。個人への不満や批判を前面に出すと、スムーズな引継ぎの妨げになる可能性があるからです。
例文:「いつもお世話になっております。大変申し上げにくいのですが、今後の介護の方針について家族で話し合った結果、担当のケアマネジャーさんを変更していただきたく、ご連絡いたしました。」
感謝を伝えつつも、変更の意思を明確に示しましょう。
どこで相談できる?主な苦情窓口一覧
不正や不適切な行為が疑われる場合は、公的な苦情窓口を活用しましょう。地域包括支援センターや市町村の高齢福祉課などは、利用者や家族からの相談を受け付けています。
- 地域包括支援センター
- 市区町村の高齢福祉課や介護保険課
- 都道府県国民健康保険団体連合会(介護サービス苦情相談窓口)
こうした窓口を活用すれば、第三者が間に入って調整してくれるため、安心して問題解決を進められます。
なぜ?最悪だと感じるケアマネジャーが生まれてしまう3つの背景

「最悪だ」と感じるケアマネジャーが生まれる背景には、個人の資質だけでなく「構造的な問題」と「利用者側との認識のズレ」という2つの側面があります。
個人の資質ではなく、構造的な問題も
ケアマネジャーの不適切な対応の背景には、個人の能力や性格だけでなく、業界全体が抱える構造的な問題が原因になっている場合があります。
ケアマネジャーの過剰な業務量と多忙さ
ケアマネジャーは、平均して30〜40人の利用者を担当し、ケアプラン作成やモニタリング、事業所との調整、書類作成など幅広い業務を抱えています。
そのため一人ひとりに十分な時間を割けず、連絡が遅れる・説明が不足するなどの不満が生じていることも少なくありません。必ずしも「やる気がない」わけではなく、多忙さから結果的に「最悪」と見られてしまうことがあるのです。

ケアマネジャーも人間です。「お忙しいところ、ありがとう」と声をかけられると嬉しいものです。お互いに、気持ちよく話せる関係性を作りたいですね!
介護保険制度上の限界
ケアマネジャーの提案や対応が物足りなく感じる場合、介護保険制度上のルールが関係していることがあります。ケアマネジャーの支援は、すべて介護保険法のルールに基づいて行われます。そのため、ご家族が「やってほしい」と望むことでも、制度上「できない」ことは提供できません。
例えば、介護保険サービスは利用者ご本人のためのものであり、ご家族の家事やペットの世話などは対象外です。「できない」という事実だけを伝えると、冷たく突き放されたように感じるかもしれません。しかし、それは制度の制約によるもので、ケアマネジャー個人の問題ではないのです。
利用者・家族との間に起こる認識のズレ
コミュニケーション不足による誤解
ケアマネジャーとの間で十分なコミュニケーションが取れていないと、ささいなことから誤解やすれ違いが生まれてしまいます。利用者側は「困っているから何とかしてほしい」という思いで相談しますが、ケアマネジャーからすれば、具体的な状況や要望を言葉で伝えてもらわないと真意を汲み取れないことがあります。
お互いの状況や考えを十分に共有できていないことが誤解を生み「こんなはずではなかった」という不信感に繋がってしまうのです。
家族が期待する役割とのギャップ
ご家族がケアマネジャーに期待する役割と、ケアマネジャーが制度上担うべき役割との間にギャップがある場合、不満が生じやすくなります。
ケアマネジャーは、介護の相談に乗る専門家であり「何でも屋」ではありません。主な役割は、ケアプランを作成し、関係機関との調整を行うことです。
医療行為の判断や、ご家族間のトラブルの仲裁、24時間対応などは、本来の業務範囲を超えています。これを「冷たい」と感じてしまうかもしれませんが、役割の限界を理解することも重要です。適切な役割分担を考えることが、良好な関係を築くことにつながります。
もう失敗しない!「良いケアマネの選び方」3つのポイント

最悪なケアマネジャーを避け、信頼できるパートナーを見つけるためには、選び方の基本を知っておくことが非常に重要です。
ここでは、
- そもそもケアマネジャーは誰がどうやって決めるの?
- 見極めるべきポイント
- 信頼できるケアマネジャーの探し方
について解説いたします。
そもそもケアマネジャーは誰がどうやって決めるの?
ケアマネジャーは、介護保険サービスを利用する際に「居宅介護支援事業所」と契約することで決まります。原則として利用者や家族が事業所を選び、その事業所に所属するケアマネジャーが担当となるのです。
つまり、最初から決められているわけではなく、利用者側が選びます。希望に合わない場合は、契約を解除して別の事業所に変更することも可能です。仕組みを理解しておけば、不満を抱えたまま我慢する必要はありません。
見極めるべきポイント
良いケアマネジャーを見極めるためには、契約前の面談でいくつかのポイントをチェックすることが重要です。
短い時間ですが、明らかに合わないと感じた場合には、交代をお願いするのもよいでしょう。
特に確認したいのは、
- 話を親身に聞いてくれるか
- 分かりやすく説明してくれるか
- 複数の選択肢を提案してくれるか
といった点です。
例えば、こちらの不安や要望を丁寧にヒアリングしてくれるか、専門用語を使わずに話してくれるか、といった具体的な言動に注目しましょう。複数の事業所のケアマネジャーと面談し、最も信頼できると感じた人と契約することも可能です。
信頼できるケアマネジャーの探し方(口コミ・主治医・地域包括)
信頼できるケアマネジャーを探すための具体的な方法は、主に3つあります。
1つ目は、お住まいの地域を管轄する「地域包括支援センター」に相談することです。地域包括支援センターは、地域の介護に関する総合相談窓口であり、中立的な立場で複数の事業所を紹介してくれます。
2つ目は、「主治医や入院先の病院の相談員」に尋ねることです。医療との連携が密なケアマネジャーや、評判の良い事業所を知っている場合があります。
そして3つ目は、実際に介護サービスを利用しているご近所の方や知人からの「口コミ」です。実際の対応や人柄といった生の声は、参考になる情報源といえるでしょう。

口コミは、信頼できる情報源のひとつです。介護サービスを利用している知り合いに「良いケアマネさん知らない?」と聞いてみるのも有効ですよ!
まとめ:最悪なケアマネジャーに我慢せず、まずは相談を

本記事では、最悪なケアマネジャーの特徴から、具体的な対処法、そして失敗しない選び方までを解説しました。担当者に不満を感じたら、ひとりで抱え込まず相談しましょう。
この記事のポイントを以下にまとめます。
- まずは特徴をチェック:今回紹介した視点で、まずは現状を客観的に判断する。
- 段階的に対処する:記録→話し合い→変更→苦情と、冷静にステップを踏む。
- 変更は権利:ケアマネジャーは自分で選び、変更できることを知っておく。
- ひとりで悩まない:困ったときは、地域包括支援センターなどの公的窓口に相談する。
ケアマネジャーは、介護を支える重要なパートナーです。それだけに、信頼関係がなければ適切なサポートは受けられません。
この記事を参考に、まずは身近な相談窓口へ相談してみてください。少しずつでも、不安や不満を解消しながら、ストレスを抱え込まずにご家族の介護を続けられるようになれれば幸いです。

ただでさえ、介護には心身の負担がかかりやすいものです。余計なストレスを減らし、みんなが笑顔でいられるように、私達ケアマネジャーもがんばります!