はじめに
令和元年における介護職の平均年収が発表されました。
これは全国の介護事業所を対象に、毎年行われている「介護労働実態調査」が基になっています。
非常に信頼できるデータであると言えます。
この記事は、以下のような疑問を持つ人へ向けて書いています。
- 「介護職って給料が低いってよく聞くけど、実際どれくらい差があるの?」
- 「今低いのは分かったけど、これから介護職の給料は上がるのかな?」
僕も同じことを思っていました。
介護職の給料と、他の業界がどれくらい差があるのか?これから給料が上がるのか?
とても興味深いテーマですね。
この記事を読むと、次の事が分かります!
- 介護職と他のサラリーマンとの年収の差
- 介護職が魅力的な仕事である為に、どれくらいの給料が必要?
- 介護業界全体の給料アップに必要なこと
結論は、次の通りです。
- 介護職の平均年収は341万円で、サラリーマン全体は500万円。
- 介護職が魅力ある仕事であるためには、年収400万円が必要。(筆者案)
- 介護報酬と加算制度次第
それでは、詳しく見て行きたいと思います。
介護職と全サラリーマンの年収差について
介護職の平均年収は341万円であると発表されました。
毎年、全国の介護事業所を対象に行われている「介護労働実態調査」が基になっています。
とても信頼できる情報源であると言えます。
しかしこの数字には、「残業手当」や昨年10月から支給された「特定処遇改善手当」は含まれていない様です。
仮に毎月「残業手当を1万円」、「特定処遇改善手当を1万円」もらうと仮定します。
そうすると介護職の年収は、24万円を足して365万円になります。
一方、サラリーマン全体の年収は500万円と言われています。(令和元年)
単純計算でも、500万円ー365万円=135万円の差があります。
135万円の差について
介護業界と他サラリーマン全体の差が135万円!
「やっぱり差が大きい!」と思うかもしれません。
しかし、このサラリーマン年収には「大企業」が含まれます。
「大企業の年功序列」は、以前ほどでないにしろ根強く残っています。
50代60代の大企業サラリーマンは、かなりの高年収であると統計にもあります。
一方、介護業界はどうでしょうか?
- 大企業に比べて平均勤務年数は短い
- 定着率が低い傾向にある(他業種に比べて転職が多い)
このことを考えると、単純比較は出来ません。
介護職が魅力的な仕事である為、どれくらいの年収が必要?
先日、ヘルパー協会は全産業平均以上の年収で人手を確保したいと声明を出しました。
しかし、実際には今すぐに年収500万円は厳しいと感じます。
筆者は「介護福祉士の資格を所有し5年以上勤務している職員は、残業なしで年収400万円」、これを目標ラインに設定するべきだと思います。

介護職の中でも、管理者やリーダーをしていて、残業時間などが多い人は年収400万円以上の方も多く居るかもしれません。
しかし、理想は、
「役職以外のスタッフ(5年勤務)であっても、残業なしで年収400万円」
「管理者やリーダーは、役職・残業手当込みで450万円」
せめて、このラインを保つことが出来れば人手不足にも歯止めがかかるかもしれません。
介護業界全体に必要なこと
介護業界全体の給与ベースを上げるために必要なことは2つあります。
来年4月に迫った介護報酬改定での・・・
- 介護報酬アップ
- より活用しやすい加算の導入
特に加算については、事務量の割に報酬が少なく活用されていないものがあります。
少ない手数で、ある程度の報酬を得られる加算制度をお願いしたいです。
まとめ
今回は、以下の3点について考えてみました。
- 介護職と他のサラリーマンとの年収の差
- 介護職が魅力ある仕事になる為に、どれくらいの給料が必要?
- 介護業界全体の給料アップに必要なこと
介護職とサラリーマンの年収は、100万円以上の格差があることが調査により分かりました。
大企業には一部、年功序列の制度が残っています。
歴史が浅く、転職機会も多い介護職とは単純比較は出来ません。
しかし、介護職が安心して働くためには役職・残業手当なしでの年収400万円が必要だと考えます。(介護福祉士が5年以上勤務した場合)
そのためには、来年4月に迫る介護報酬改定がポイントになります。
また、介護報酬改定へ向けて大規模な署名も行われています。
オンラインでも署名できるので、興味のある方はお願いします。
私たち介護業界だけでなく、人手不足は深刻です。
介護は楽しいけど、収入が低いから転職を余儀なくされるケースもあります。
介護に携わる人が、安心して仕事ができる環境を整えていけるよう、声を上げて行きましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。