はじめに
私は、地方都市のデイサービスに勤務しています。
私の勤務するデイサービスは、「コロナ対策加算」とも呼べる「2区分介護報酬上乗せ」を算定することを、6月1週目に決定していました。
厚生労働省が「2区分介護報酬上乗せ」特例を発表したのが6月1日でした。
ですから、私の事業所はかなり早く算定を決定したことになります。
算定に関することは、過去に取り上げています。

当初、周辺では「介護報酬上乗せ」を算定するデイサービスは私の事業所だけでした。
6月も下旬に差し掛かり、もう他に算定する事業所は無いと思っていました。
しかし、他の事業所の中にも算定するデイサービスが出て来ています。
その理由は、大きく2つあります。
①コロナにより減少した収益のカバー
②救済措置を利用しなければ、次に繋がるから。
②は、せっかく国が作ってくれた制度を誰も活用しなければ、「デイサービス元気だね!もう救済必要ないね!」となるからです。
それでは、詳しく書いていきたいと思います。
「介護報酬上乗せ」発令当初
令和2年6月1日に、「介護報酬上乗せ」特例が発表されました。
私の勤務するデイサービスは、すぐに上乗せを算定することを決定していました。
6月の2週目にケアマネジャーさんへ連絡し、算定の旨を説明しました。
ケアマネさんへの対応
ケアマネさんからは、「利用者さんにも負担が掛かるんですね!」みたいな事をいわれることも数件ありました。
しかし、以下の2点を説明することで理解を頂きました。
・消毒にかかるコストや努力の説明
・限度額がギリギリ、もしくは経済的に困難な方には、算定を行わない
特に、2番目の説明では好感を得ていました。
限度額を超えてしまうと、全額自己負担になります。
また、コロナの影響で収入が減少し経済的に苦しい方も除外しました。
ご家族への対応
「介護報酬上乗せ」について、ご家族にお願いをしました。
ほとんどのご家庭は、即了承して下さいました。
しかし、制度そのものへの不満はあります。
その不満は、以下のようなことです。
- 「上乗せ」がいつまで続くのか分からない
- 「上乗せ額」の計算が分かりにくい
コロナ騒動がいつまで続くのか分からないとは言え、上乗せの継続期間が分からないのは不安が残ります。
計算方法についても、計算式自体は難しくありません。
しかし、高齢者の中には「分からない」と言われる方も居られます。
分かりやすい加算方式に移行してもらいたいと思います。

「上乗せ」を行うデイサービスの現状
では、デイサービスの現状はどのようになっているのでしょうか?
私の勤務するデイサービスについてお話します。
コロナウイルスの影響により、デイサービスの利用控えが見られたのが3月~5月。
6月に入り、利用者数は完全に回復しています。
しかし3~5月の利用控えが原因で、当初の予算を下回りました。
デイサービスが上乗せを算定する理由
コロナにより減少した収益のカバー
コロナウイルスの感染予防により、デイサービスの利用控えが見られたのが3~5月です。
比較的お元気な利用者さんほど、利用を控える傾向にありました。
ですから、お元気な方を対象にしている「運動系」のデイサービスは大きく収益を減らす事業所も見られました。
単純に、その減少した収益をカバーするために上乗せを行う事業所もあります。
救済措置を利用しなければ、次に繋がるから。
今回の上乗せ特例は、利用者にも負担を強いるものです。
ですから、正直あまり良い制度とは言えません。
ケアマネジャーやご家族さんの中には、制度自体に不満を持つ方も居られます。
そんな中で、デイサービスが上乗せを行う理由がもう一つあります。
それは、
今回の上乗せを算定しなければ、国に「デイサービスは元気なんや」と思われるから。
です。
国にしてみれば、
「コロナの影響でデイサービスの経営が危ういと聞いている。
だから、特別に上乗せ報酬してもいいことにしてあげよう!」
と考えたはずです。
もし全国のデイサービスが上乗せ算定しなければ、
「せっかく作ったのに誰も使わないのか…。じゃあ、もう大丈夫だね。
来年の介護報酬改定は、デイサービス上げなくていいね。」
となるかもしれないのです。
介護報酬が下げられでもすれば、また3年間冬の時代に突入することになります。
そうならないためにも、心を鬼にして算定を行うのです。
デイサービスには、救済が必要と訴えるのです。
最後に・・・
令和2年6月1日に発令された、コロナ加算とも呼べる特例。
利用者さんに負担を強いるものであり、ケアマネジャーさんからの評判も良くありません。
しかし、あえて算定を行う理由があります。
それは、
①コロナにより減少した収益のカバー
②救済措置を利用しなければ、次に繋がるから。
この2つです。
上乗せで得ることの出来る金額は、あまり大きなものではありません。
しかし、毎日多量に消費するアルコール消毒液の購入費には十分です。
そして、もう一つの大きな目的は、デイサービスの窮状をアピールするためです。
制度に難くせをつけて利用しなければ、「デイサービスは元気」と思われるかもしれません。
来年に控えている介護報酬改定で、デイサービス報酬に色を付けてもらうためにも、心を鬼にして上乗せ請求をするのです。
デイサービスが存続しなければ、スタッフも利用者さんも守ることは出来ません。
もう一度言います。
私はスタッフと利用者を守るため、心を鬼にしても上乗せ報酬を算定していきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。